昨日の記事「AIに背中を刺される日がついに来た」を公開した後、何人かの方から「どんなことできるの?」「うちの業務でも使えるの?」といった反応をいただきました。そこで今回は、誰でも簡単に自分の業務を分析できるプロンプトを作ってみました。作成時間はテスト込みで約10分。AIに慣れていない方でも、「へー、こんなことまで分析できるんだ」と感じてもらえるような内容になっています。なぜこのプロンプトを作ったのか昨日お話しした医療・福祉会社のお客様の件がきっかけです。「数ヶ月でAIの勘所が身についた」という話を聞いて、まだAIを本格的に触ったことがない方にも、まずは簡単に「自分の業務のどこがAI化できそうか」を知ってもらえたらと思いました。周りの反応を見ていても「そんなことできるの!?」という驚きが多いので、参考程度に試していただければという気持ちで作成しています。実際に試してみた結果人事部の採用担当業務で試してみたところ、想像以上に詳細な分析結果が出てきました。例えば:AIで完全代替できるもの:応募書類からのデータ入力・管理面接日程の調整定型的な採用活動レポートの作成内定通知書・労働条件通知書の作成AIで部分的に支援できるもの:募集要項のドラフト作成スカウトメールの作成・配信書類選考における一次スクリーニング人間にしかできないもの:採用戦略全体の立案と意思決定候補者の潜在能力やカルチャーフィットを見極める面接オファー面談における入社条件の交渉内定者の入社意欲維持・向上本来の出力ではそれぞれの項目に「なぜAIで代替可能なのか」「なぜ人間でないとダメなのか」といった理由も含まれているので、とても納得感のある分析になりました。正直もっとAIで出来ることってあるし、人間にしかできないことの中にもAI化出来ることはありますが、初めての方には良いかなと思っています。プロンプト全文以下のプロンプトをAI(ChatGPTやGemini、Claudeなど)にコピー&ペーストして、最後に自分の職種や業務内容を入力するだけです。### 役割設定 (Role)- あなたは、AI技術と業務プロセスに精通した業務分析の専門家です。- あなたの任務は、特定の業務内容を構成する最小単位の「タスク」まで詳細に分解し、現在のAI技術で代替可能か否かを、客観的な事実に基づいて評価・リストアップすることです。### 背景・文脈 (Context)- このプロンプトは、ユーザーが入力した職種や業務概要から、それに含まれる可能性のある一般的なタスクをAIが網羅的に推測し、分析結果を提示することを想定しています。- 目的は、感情的な意見やアドバイスを排し、客観的な分析結果として業務の棚卸しを行うことです。### ゴール (Goal)- ユーザーから入力された担当業務について、「AIで代替・支援可能なタスクリスト」と「AIでは代替が困難なタスクリスト」を、考えうる限り網羅的に、具体的かつ詳細な粒度で生成すること。### タスクの詳細な手順 (Task Steps)1. ユーザーが入力した職種や業務内容から、それに付随するであろう一般的な業務タスクを、可能な限り網羅的に、かつ具体的な行動レベルまで推測・分解します。2. 分解した各タスクについて、現在のAI技術による代替可能性を評価します。3. 【AIで代替・支援可能なタスクリスト】として、AIが実行または支援できるタスクを、思いつく限り数多くリストアップします。その際、以下の情報を必ず含めてください。- タスク名: 具体的な作業内容を記述します。(例:定型レポートのデータ集計)- 代替の程度: 「完全代替」「部分的支援」のいずれかを明記します。- 活用されるAI技術: 代替に使われるAI技術の一般的なカテゴリを記述します。(例:RPA, データ分析AI, 文章生成AI)4. 【AIでは代替が困難なタスクリスト】として、人間の判断や介入が不可欠なタスクを、思いつく限り数多くリストアップします。その際、以下の情報を必ず含めてください。- タスク名: 具体的な作業内容を記述します。(例:最終的な戦略の意思決定)- 代替が困難な理由: なぜAIでの代替が難しいのか、その根拠を簡潔に記述します。(例:非定型的な問題解決が求められるため。複数のステークホルダー間の複雑な利害調整が必要なため。)### 具体例 (Example)- タスクの品質を担保するため、以下の具体例を参考にしてください。これは非常に重要です。- ユーザー入力:- 例:法人向けの営業職です。- 良い例(このように作成してほしい):【AIで代替・支援可能なタスクリスト】- タスク名: ターゲット企業リストの作成- 代替の程度: 部分的支援- 活用されるAI技術: WebスクレイピングAI, データ分析AI- 補足: 業界や企業規模などの条件に基づき、Web上から企業情報を収集・リスト化する。- タスク名: 顧客への初回アプローチメールの作成- 代替の程度: 部分的支援- 活用されるAI技術: 文章生成AI- 補足: 顧客の業種や役職、過去の類似案件に基づき、複数のパターンのメール文面を自動生成する。- タスク名: 商談の議事録作成- 代替の程度: 部分的支援- 活用されるAI技術: 音声認識AI, 文章生成AI- 補足: 録音データから文字起こしを行い、要約、決定事項、TODOリストを自動で抽出・作成する。- タスク名: 営業日報の作成- 代替の程度: 部分的支援- 活用されるAI技術: 文章生成AI, RPA- 補足: カレンダーの予定、議事録、CRMの活動履歴から日報のドラフトを自動生成する。- タスク名: 提案資料の構成案・下書き作成- 代替の程度: 部分的支援- 活用されるAI技術: 文章生成AI- 補足: 顧客の課題や過去の提案事例を基に、提案の骨子となる構成やスライドごとのテキスト案を作成する。【AIでは代替が困難なタスクリスト】- タスク名: 顧客の潜在的ニーズのヒアリング- 代替が困難な理由: 雑談や表情、声のトーンといった非言語情報から、顧客自身も気づいていない本質的な課題を察知する必要があるため。- タスク名: 大型案件のクロージング交渉- 代替が困難な理由: 相手との信頼関係を基に、価格や納期だけでなく、契約の細部にわたる複雑な条件について駆け引きや説得を行う必要があるため。- タスク名: 既存顧客との関係維持・深耕(リレーションシップマネジメント)- 代替が困難な理由: 定期的な接触の中で、ビジネス以外の雑談なども交えながら、人間的な信頼関係を構築することが重要なため。- タスク名: 競合他社とのコンペにおける戦略立案- 代替が困難な理由: 自社の強み・弱み、競合の動向、顧客の特性を複合的に分析し、独自の切り口で勝つためのシナリオを創造する必要があるため。- タスク名: チームメンバーのモチベーション管理と指導- 代替が困難な理由: 個々のメンバーの性格やキャリアプランを理解し、感情に配慮しながら成長を支援するという、人間的なインタラクションが不可欠なため。- 悪い例(これは避けてほしい):- 数が少ない: 各リストに2〜3個しかタスクが挙げられていない。- 粒度が粗い: 「事務作業はAIに置き換わる」- 理由が不明確: 「クレーム対応は人間にしかできない」### 出力形式 (Output Format)- 以下の2つのセクションを見出しとして使用し、内容を分けて提示してください。1. 【AIで代替・支援可能なタスクリスト】2. 【AIでは代替が困難なタスクリスト】- 各リスト内では、タスクごとに箇条書きで整理してください。### 制約・ルール (Constraints)- リストアップするタスクの数は、できる限り多く、網羅的になるように努めてください。- 客観的な事実のみを記述し、提案、アドバイス、感情的な表現は一切含めないでください。- 文体は、丁寧語(ですます調)を維持しつつ、分析レポートのような客観的で淡々としたトーンを使用してください。- 特定のAI製品名(例:ChatGPT, Geminiなど)は挙げず、「文章生成AI」といった一般的なカテゴリ名を使用してください。- 生成されたプロンプト内に「AIにプロンプトを提供する」といったメタ的な指示は含めないでください。使い方: 上記のプロンプトの後に、「私の担当業務は○○です。主に〜」のように自分の職種や業務内容を入力してください。まずは試してみませんか?このプロンプトはあくまで初級編として作成しました。シンプルに「そんなこと出来るんだー」「すごいなー」と少しでも知ってもらえて、「勉強してみようかな」と興味を持ってもらえたら嬉しいです。いろいろな職種に使える汎用型にしているので、お試しでやってみてください。今後は中級編、上級編なども考えています。10分で作ったプロンプトですが、プロンプトの構造自体は参考になるかもしれません。何より、あなたの業務がどのように変化していくのか、客観的に把握する第一歩として活用していただければと思います。昨日の記事でお話しした通り、変化は思っているより早くやってきます。まずは気軽に、自分の業務を分析してみることから始めてみませんか?#ライターの紹介-横内 圭介(Musubi Inc.):調査・分析、戦略〜施策の立案と実行まで担当略歴 ##略歴"""-総合商社にて、主に製造業を中心としたマーケティング・営業を担当。15年以上に亘り、国内外メーカーの海外進出支援や営業・マーケティング戦略の立案から実行までを行う。2015年にMusubi Inc.を設立してから全く畑の違うブランディングの業務に従事。製造、建設、サービス、銀行、飲食、ホテル、運送、流通、リサイクルなど多くの業界を担当し、様々な領域の課題可決をコンサルタントとして担当している。ここ1年ほど様々なAIツールに触れ自身の業務効率が格段に上がったことから、兼業でブランディングやマーケティング業務を担われている方などに向けて情報発信できたらなと考えています。兼業でなかなか時間が割けない=ブランディング・マーケティング活動ができないといった方々に少しでも役に立てればと思っています。"""